金の真贋を見極める方法は、昔は試金石や比重の確認、現代は蛍光X線検査等の方法があります。
時代劇でよく悪徳商人が小判を歯でかじって本物か偽物かを確認するシーンが出て来ます。
これはあくどさを演出しているだけではなく、シンプルで合理的な方法です。
純度が高ければ柔らかいので、いつも小判を噛んで真贋を確認している人であれば感触で高純度かどうかが判ります。
しかし衛生的な問題と歯形が残ります。
例えご自分の品で綺麗に洗浄してあったとしても、現代の合金は、人体に有害だったりアレルギー反応を起こす金属が素材に使われているケースもありえます。
現在一般的なツールを使った見極め方法は下記になります。
どの方法も一長一短があり、結果に100%の保証はありません。
幾つかの方法を組み合わせたり、時代劇の中の商人のように独自の方法を構築している先人もいます。
目視(ルーペ)で確認
刻印で記されている品位を確認するのは第一です。
次にルーペで品物の細部をよく見ると、金具の表面仕上げの粗さや細部(エッジ)のメッキ剥げ等の状態から、真贋を判定することもできます。
判断基準を覚える為にも、日頃から本物のジュエリーとメッキのアクセサリーをルーペで見ておくと良いかもしれません。
磁石で確認
磁石に反応する金属で一般的なのは、鉄、コバルト、ニッケルです。
またそれらを一定割合以上含む貴金属合金(例.健康グッズの磁気ブレス等)も磁石に反応します。
磁石に反応する金属には、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムが挙げられますが、磁石に反応しない金属はたくさんあります。
留め具のバネ等も一部鉄が使われていて磁石が付くケースもあるので、磁石に反応するしないは、補助的な検査となります。
古来からの試金石・硝酸で確認
古代から使われている金の純度分析方法で、一般には三重県南部に位置する熊野市の山中より産出する緻密な黒色の岩石で、正式には黒色珪質頁岩(こくしょくけいしつけつがん)と言う堆積岩の一種で、硯や碁石の素材として「那智黒石」と呼ばれています。
平らに磨いたこの石表面に金製品を擦りつけ、条痕(石に付着した金属の細いスジ)をつけて。その条痕に硝酸(しょうさん)をごく少量1滴程度付けて、硝酸に反応しても残る条痕の金色の濃さで真贋や純度を鑑定します。
簡単に石に付着していた条痕が硝酸に反応して消えてしまえば偽物、消えずに残れば本物(金性あり)と言う判断ができます。
金を含んだメッキや金張りは、条痕が残るので必ず他の検査も同時に行い、総合的に判断する必要があります。
検査に使う硝酸は、劇薬ですので取扱いや保管には十分注意しましょう。
硝酸の保管に不安がある場合は、硝酸を使わずに試金石に条痕を付けた感触や色から見分ける方法を習得している先人もいます。
ネットジャパン各店舗にて試金石(5,000円税込)を販売しております。
※硝酸は劇薬なので、調剤薬局でお買い求めください。(購入の際には、身分証明書と印鑑が必要です。)
はかり(比重値)を確認
金や白金などの貴金属はそれぞれ決まった比重値を持っています。
比重とは、私達が生活している場所で(常温、常圧で)その物質の1立法センチメートル当りの重量の事で、(物質を1センチ角のサイの目状に切った時のその重さ)K18やPt900のように何種類かの貴金属を混ぜ合わして作った合金でも、その混合比率が解っているので比重は計算出来ます。
比重計で計測された数値を比重一覧表に照らし合わせれば、その貴金属の品位が特定出来る訳です。
比重計の機械的な仕組みについては、ここでの説明を控えますが、「電子天秤」同様デリケートな電子機器なので丁寧に取り扱いましょう。
蛍光X線分析装置
X線を貴金属に照射して発生する蛍光X線から、物質の成分元素や構成比率を分析する機械です。
元素の種類とそれぞれの%を数十秒で分析することが可能です。
ただし厚く金メッキが施されている場合には、その下を透過検査はできません。
中まで無垢であるかを確認するには、直径1mm未満程度の検査面積の表面を削り、メッキ下の地金層にX線を照射して検査する必要があります。
また内包型のタングステンインゴットのように、厚い金の板で包まれたような状態では、外からX線を照射しても内部のタングステンを検出することは出来ません。
外側から判断出来る材料が見つからず、どうしても確認の必要がある時には、事前に持ち主に説明して了解を得てから、品物に切れ込みを入れて切断面にX線を照射して検査する方法もあります。