銀は、金のように自然の中で粒として採取されることは稀でした。
そのために銀を鉱石の中から抽出する精錬方法が編み出されるまでは、産出量が極端に少なく一部では金よりも貴重とされていた時期もありました。
銀の純度
銀の合金は、イギリスで1300年頃から銀貨やジュエリーの規格が定められ、その規格が現在も各国銀合金の基準ともなっています。
代表的な銀の純度を3つご紹介します。
(1)コインシルバー・・・銀が90%+その他金属の銀合金で耐久性に優れた配合です。
例・下の写真は、イギリスで1895~1935に発行されたブリタニア1ドル銀貨で、銀が90%のコインシルバーです。(その他の銀貨も世界のコイン(データベース)でご覧いただけます。)
(2)スターリングシルバー・・・銀が92.5%+その他金属の銀合金でやはりイギリスの銀貨の品位です。加工のしやすさと耐久性からジュエリーにも用いられています。【STERLING SILVER】や【Ag925】【925】等と刻印されています。
例・下の写真は、イギリスで1999に発行されたスターリングシルバーの銀貨です。(その他の銀貨も世界のコイン(データベース)でご覧いただけます。)
(3)ブリタニアシルバー・・・銀が95.8%+その他金属の銀合金です。
これもイギリスの銀貨の品位でしたが、スターリングシルバーに比べて耐久性が低かった為に銀貨の素材には適しませんでした。
銀製品は、銀貨ほどの耐久性を求められないことから、現在も【Ag950】や【SILVER950】のアクセサリー等が多く流通しています。
いずれもジュエリーよりもハードな環境で使用されるイギリスの銀貨の素材に基づき品位が定められましたが、昔のジュエリー業界では、銀貨を溶かしてジュエリーに加工していた背景もあるようです。
日本では、造幣局が発行した現行円貨幣を損壊することは法律で禁じられています。
しかし海外の銀貨を加工したジュエリーや装飾品は、放置すると表面が硫化して黒ずんできます。
シルバージュエリーとして、古美銀色に変色(硫化)した色が味わい深く魅力的であると好まれる場合もありますが、現在のシルバーアクセサリーは、一般的にアクリル樹脂やロジウムメッキを表面に施して変色を防いでいます。
銀の特性
化学的変化をしやすく、空気中に含まれる硫黄化合物と反応して硫化反応(黒色に変色)を示します。
その硫化反応を利用して、硫黄化合物やヒ素化合物の混入を察知できるように支配階級は食器やカトラリー、日本でも箸等の素材に銀を用いていたとも言われています。
ヨーロッパにおいては、銀食器やカトラリーは富の象徴ともなっていた為、金属の表面に銀箔を圧着させた銀張り(SILVER FILLED)の商品も多く作られました。
アンティークでは、銀貼りのカトラリーやオブジェ、銀食器なども沢山あります。
良い品でアンティークとして価値があったとしても、素材が銀でない場合もありますので、購入される際には素材の刻印もご確認ください。
※西洋アンティーク以外のメッキ刻印は、こちらでご確認頂けます。
また銀には、銅と同様な殺菌力があり、1990年以降は銀イオンの殺菌効果をうたった商品が日常生活の中でも増えて来ました。
銀相場10年の価格推移チャート
過去10年の銀相場の推移をチャートで見ると、2011年4月に120円を記録した直後に大きく下落。しかし2008年11月は31.1円/グラムだったことを踏まえると2017年4月現在の66円台は、10年前に較べると倍の相場価格となっています。
※【過去の価格チャート】で直近の推移をご覧いただけます。